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田辺美那子 《赤貝》

田辺美那子 《赤貝》
作品番号
25070071
価格(税込)
35,200
(うち消費税相当額 ¥3,200)
頒布グループ(申込期間)
2025年7月号「いま買うべき、この一枚」(2025/06/19〜2025/07/10)
規格
(額なし)4F(33.3×24.2×1.8cm) 油彩、キャンバス
当たり前の中の違和感を、ジューシーに描く画家
肉と笑いと、日常と。

肉を描く画家として(美術関係者の間で密かに)知られる田辺美那子。慶應義塾大学薬学部を卒業後、都内の百貨店に勤務し、その後に自身のギャラリーを開業するという異色の経歴を持つ(33頁)。
モチーフとして肉に目を向けるようになったきっかけは、食料品のチラシに掲載されていた、箸でつままれた美しいサシの入った肉の広告だった。高級感あふれる、いかにも美味しそうな肉をアピールするための、いわば“定番”の広告写真。しかし、そのポージングのワンパターンさが、逆に滑稽に思えて仕方なかったのだという。
「日常生活の中にある、当たり前のようで実は滑稽なこと。それは、私たちが見過ごしているだけで、至るところに転がっているのだと思う」と田辺は語る。
彼女の描く肉は、滴るような存在感を放ちつつも、どこか空虚で、どこか可笑しく、そして皮肉を帯びている。そんな作品は、鑑賞者の心にひとときの笑いをもたらすと同時に、静かな内省へと導いていく。真面目に、忙しなく日々を送る私たちにとって、ふと立ち止まり、くすりと笑う瞬間は、思いのほか大切なのかもしれない。


「生肉をモチーフにするとは、なんという斬新さ!」──そう驚かされた初見以来、ずっと注目している異色のアーティスト。一編集者としての義理あって、初出品のグループ展から見守ってきたが、回を重ねるごとにその表現は深化し、成長ぶりも目覚ましい。今後も何かを仕掛けてくれそうな、そんなエネルギーをひしひしと感じている。(編集部・W)

【この作品は美術誌「月刊美術」との連動企画です。2025年7月10日を締め切りに応募を受け付け、複数応募があった作品については抽選して当選者を決定いたします。】
作家名
Minako TANABE
田辺美那子
経歴
1994年東京都生まれ。学生時代は美術部に所属。大学は薬学部に進学し、大学院では胎盤における薬物動態について研究。卒業後は都内百貨店に就職し、子供服や婦人服のバイイング等を担当。退職後、ギャラリーを開業。身の回りにある当たり前のようで実は滑稽なこと、違和感を覚えることを表現している。「肉を箸でつまむ」シリーズや、コラージュ作品を通して日常の中の滑稽さを描く。
展示予定
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